地球上のほとんどの構造物は地盤の上,あるいは地盤の中に造られているため,地盤の特性を十分に把握することは非常に重要です.地盤システム系では,地盤を構成する「土」の物理的性質や力学特性を知ることから,地盤内の地下水の流動,地盤の変形と破壊,人工斜面や自然斜面の安定問題などについての教育と研究を行っています.特に,最近頻発する豪雨や地震による地盤災害に対する防災・減災研究や高レベル放射性廃棄物の地層処分などのエネルギー・環境問題にも力を入れて研究をしています.
自然地盤の地震時の力学特性を精密に得るための室内試験法を開発ならびに実施し,その結果を用いて自然地盤の動的挙動を予測するモデルを構築します.それらのモデルを用いた数値解析によって,海溝型巨大地震が実際に発生した場合を想定した地震時挙動予測シミュレーションを行います.
高レベル放射性廃棄物の地層処分場では,ガラス固化した放射性廃液の廃棄体をステンレス製の容器に密閉し,それを高圧圧縮成形したベントナイト緩衝材で覆った上で岩盤層の天然バリアに封じ込めます.本研究では,その緩衝材の力学性能を評価するために,不飽和ならびに飽和状態における圧縮ベントナイト緩衝材のせん断試験を行います.それにより,圧縮ベントナイト緩衝材の力学モデルを構築し,地層処分場の長期挙動を予測するシミュレーション解析に役立てます.
マイクロスコープにより観察されたせん断中の圧縮ベントナイト共試体の破壊挙動
近年頻発しているゲリラ豪雨などによって河川堤防の決壊や人工盛土斜面の崩壊が後を絶ちません.また,我が国を含む世界各地で直下型地震が多く発生しているとともに,東海,東南海地震といった海溝型巨大地震が近い将来発生することも確実視されています.そのため,洪水や地震による地盤災害を防いだり,軽減したりするために,堤防や盛土斜面の合理的な安定性評価手法の開発を進めています.
台風によって破堤した河川堤防
洪水時の堤防の浸透破壊解析