激化する都市河川の洪水氾濫への対処
① レーダー情報に基づくゲリラ豪雨の流出解析
ゲリラ豪雨の捕捉と流域雨量の評価
近年,局地的短時間豪雨いわゆるゲリラ豪雨が頻発しています.雨域が狭いゲリラ豪雨は,空間的にまばらに配置された地上雨量計では捕捉できないことがあり,XバンドMPレーダが有効です.研究室ではレーダ雨量の精度確認とともに,流域全体に降る雨量の評価手法の検討を進めています.
都市河川の急激な出水メカニズムの検討
市街地が広がる中小河川では,ゲリラ豪雨に対して急激な出水が発生しています,勾配が緩い平地の河川でも,わずか15分間で水位が2メートルも上昇することがあります.研究室では,こうした急激な流出現象の発生メカニズムについて,水理学的な雨水流出モデルを作成して検討しています.
② 都市河川特有の洪水流出現象の観測
雨水吐きの流出量観測と解析
市街地に降った雨は雨水吐きを通して河川に排出されます.河川水位が大きく上昇すると,雨水吐きがふさがれたり,時には市街地に逆流することがあります.そこで,植田川(名古屋市)で雨水吐きにセンサーを設置して流出状況を把握し,河川水位の影響について実態解明を進めています.
都市河川の洪水流量観測システム
都市河川では急激な出水が生じるため,水位観測は行われていても流量が把握できていません.そこで,最新のセンサー機器と動画解析を用いた流量観測手法を試行しています.最近では,山崎川(名古屋市)瑞穂水位観測所の水位-流量曲線を構築し,さらなる精度向上に努めています.
③ 新たな雨水流出抑制方策の検討
透水性POC舗装の有効性の評価実験
都市化した流域での水害を軽減するには,地表面の透水性を回復するとともに雨水を地中に貯留することです.従来の透水性アスファルト舗装よりも耐久性が高いポーラスコンクリート(POC)舗装について,実物大の降雨実験によって浸透特性を明らかにし貯留機能を高める方法を提案しています.
水田による雨水貯留機能の強化方策の提案
都市域における雨水貯留施設の設置が進まないなか,流域に残る水田の活用を提案しています.水田の雨水貯留機能の強化策として,取水口に自動給水栓,落水口に切欠き板を設けることで,雨水貯留量を大幅に増加できることを現地での実証実験と流出解析によって確認しました.