研究紹介
岩盤中の割れ目形成や風化・崩壊に関わる研究
トンネルや地下備蓄基地などの地下空間の適切な利用にあたり,岩盤中に発達する割れ目の方向や性質を把握することは非常に重要である.現地踏査や室内試験を通して,これらを明らかにする研究をしている.
さらに岩盤の風化はこれらの割れ目から進展することが多い.割れ目形成や風化のメカニズムを明らかにし,斜面の安定性に関わる研究を行っている.
写真上: 加波山花崗岩中のシーティング節理.斜面に平行に発達している割れ目(節理)の様子が分かる.株式会社石原石材の丁場にて.
写真下: 土石流を引き起こした斜面崩壊源.広島の阿武山南麓斜面.広島型花崗岩の岩隗が残っている.
歴史的構造物の保全・修復に関わる研究
歴史的な土木および建築構造物に利用されている版築や日干し煉瓦といった土構造物,ならびに砂岩・安山岩・花崗岩などの石材の物理的特性や風化・崩壊メカニズムの解明に取り組んでいる。
ユネスコのプロジェクトや,土木や地盤関連の学会の研究委員会等に所属し,歴史的構造物の記録活動などにも取り組んでいる.
写真上: 横須賀第一号ドライドック.日本最古の石造ドライドックであり,江戸後期から明治初期に掛けて建設された.
写真下: タジキスタン共和国アジナ・テパ仏教遺跡.歴史的な土構造物を,新しい日干しレンガで修復している.
写真測量を用いた地盤構造物の定量化に関する研究
岩盤中の割れ目の三次元記録や,歴史的構造物の記録活動に利用している技術である.
対象物に対して複数の写真撮影を実施し,三次元モデルを作成すると共に,測量を通して数値化を行い,空間的および時間的な違いや変化を捉えている.
写真上: 横須賀第一号ドライドックでの測量風景.安山岩である真鶴産の小松石で出来たドックをトータルステーションで測量している.
写真下: タジキスタン共和国アジナ・テパ仏教遺跡の測量風景.プリズムをたてた基準点の位置を測定している.