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大型プロジェクト(学内外共同研究)

 

自然災害リスク軽減研究センターHPでも本研究室の最新の研究成果を公開しています。
コチラをご覧下さい。

 

 

 

研究テーマ一覧

1.高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究

2.豪雨時の堤防や盛土法面災害に対する減災研究

3.長周期海溝型地震時の鋭敏粘土地盤の被害予測に関する研究

 

 1.高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究

 現在我が国の電力の3割以上は原子力発電にたよっており,今後もその比率は増加してゆくと予測されています。原子力発電の是非は別として,今日も我々が電気を使うことによって ,着実に放射性廃棄物が生まれているという現実があります。
 ウランを再処理することによって生じる廃液を高レベル放射性廃棄物と呼びますが,それら の処分方法として現在計画がすすめられているのが,いわゆる地層処分です。すなわち,ガラス固化体にした高レベル放射性廃棄物を人間活動の影響圏から離れた地下300m以深の岩盤層に埋めて処分する計画です。 地層処分においては,安定した天然バリアと呼ばれる岩盤層の中に,人工バリアに封じ込めたガラス固化体を入れます。 天然バリアとの境界となる人工バリアの一番外側は緩衝材が設置されますが,この緩衝材は 変形性能が高く,かつ周りの地下水環境に万が一にも放射性物質が流れ出さないように極めて透水性の低い物質を用いる必要があります。そこで,現在緩衝材の有力候補のひとつとされているのが粘土鉱物を主成分とするベントナイトです。万全 の安全性を期して計画されている地層処分ではありますが,その実現のためにはいくつも最悪のシナリオを想定し それらをクリアしてゆくことで安全性を検証しておかねばなりません。
 本研究では,地層処分の最悪のシナリオのひとつとして,断層運動や岩盤のクリープ破壊により緩衝材にせん断帯が発生したことを想定しています。緩衝材に発生したせん断帯の部分の間隙率の増減は?遮水性能は?その他の緩衝材としての性能は?間隙水の拡散は?等々, 研究をすすめて明らかにする必要があります。本研究室では,地層処分場の地下環境を想定した高拘束圧下での一面せん断試験三軸試験ならびにそれらの数値解析を実施することにより, せん断帯生成のメカニズムの解明ならびにせん断帯が生成した場合の緩衝材の性能の評価を行っています。

   

   緩衝材のせん断帯の生成過程の数値解析

 

関連論文:
小高猛司,寺本優子:不飽和および飽和条件下での圧縮ベントナイトのせん断破壊特性,地盤工学ジャーナル,Vol.4, No.1, pp. 59-69, 2009.
小高猛司,寺本優子, 平手寿大, 元山泰久:圧縮ベントナイト緩衝材のせん断破壊時の性能評価,地盤工学ジャーナル,Vol.5, No.2, pp. 207-218, 2010.
Kodaka, T. and Teramoto, Y., Hirate, T., Motoyoma, Y., Higo, Y. and Oka,F.: Shear Failure Development in Compacted Bentonite Specimens, Proc. of the International Symposium on Geomechanics and Geotechnics: From Micro to Macro, IS-Shanghai 2010, Vol.1, pp.29-34, 2010.
Kodaka, T., Hirate, T. Motoyoma, Y. and Teramoto, Y.: “Density changes and sealing performance of damaged compacted bentonite”, Proc. of the 14ARC, Hong Kong, Paper ID:197, 2011.
Kodaka, T., Cui, Y. and Takada, H.: Shear properties of high density bentonite‐sand mixture under unsaturated and saturated conditions, Proc. of 3rd Int. Conf. on Geotechnical Construction Materials and Environment, GEOMATE 2013, Nagoya, Paper ID: 3340, 2013.
Kodaka, T., Cui, Y., Takada, H. and Furuyama, S.: Mechanical Properties of Compacted Bentonite-Sand Mixtures under Unsaturated and Saturated Conditions, Proc. of the 7th International Congress on Environmental Geotechnics, pp.858-863, 2014.
小高猛司,崔 瑛:ベントナイトの力学・透水(実験),地盤工学会会誌,報告,Vo.63, No.6, pp.16-19,2015.
Cui, Y., Kodaka, T. and Furuyama, S.: Deformation and Strength Characteristics of High-density Bentonite-sand Mixture under Unsaturated Conditions, Proc. of the 15th Asian Regional Conference on Soil Mechanics and Geotechnical Engineering, Fukuoka, JPN-085, 2015.

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2.豪雨時の堤防や盛土法面災害に対する減災研究

 近年,国内外の各地で集中豪雨が発生し,堤防盛土法面で地盤災害が発生しています。それらの地盤構造物をいざというときの豪雨災害から守るためには,詳細な点検,日常のモニタリングならびにメンテナンス手法の確立が重要です。しかし,堤防も盛土法面も,それらを構成する材料すらほとんど把握されていないのが現状です。
 堤防の詳細点検の手法は確立されているものの,浸透と安定性を別個に検討する,全応力法を基準として地盤材料を取扱うためにダイレイタンシーなどの地盤材料の重要な力学特性が反映される余地がない,透水性を含めて礫混じり土の取扱いがほとんど考えられていない,等々今後検討すべき項目が多く含まれています。
 本研究室では,三軸試験や浸透実験を実施し,堤防構成土の粒度特性が強度・変形や浸透などの力学特性に及ぼす影響を検討し,合理的な堤防の安全性評価の手法の提案をしています。

 

 

関連論文:
小高猛司:地盤防災に対する数値地盤力学 〜地盤材料−間隙流体相互作用のモデリング〜,地学雑誌,Vol.115, No.3, pp. 295-308, 2006.
小高猛司,板橋一雄, 中島康介, 牧田祐輝, 李 圭太, 上村俊英, 坪田邦治, 加藤雅也:河川堤防砂礫の変形・強度特性の評価手法に関する考察,地盤工学ジャーナル,Vol.5, No.2, pp. 193-205, 2010.
小高猛司,崔 瑛,李 圭太,森 涼香,兼松祐志:河川堤防の構造の程度が力学特性の評価に及ぼす影響,河川技術論文集,第18卷,pp.339-344, 2012.
小高猛司,崔 瑛,李 圭太,兼松祐志,小林芳樹:三軸試験の試験条件が河川堤防土の強度定数に及ぼす影響,河川技術論文集,第19卷,pp.81-87, 2013.
Kodaka, T., Cui, Y., Lee, K.-T., Mori, S. and Kanematsu, Y.: Soil structure in gravel-mixed sand specimen and its influence on mechanical behavior, Proc. of the 18th Int. Conf. on Soil Mechanics and Geotechnical Engineering, Paris, pp.1691-1694, 2013.
崔 瑛,小高猛司,李 圭太:河川堤防樋門周辺地盤内のゆるみ領域や空洞の生成・発達に関する模型実験,河川技術論文集,第21卷,pp.395-400,2015.
小高猛司,崔 瑛:ベントナイトの力学・透水(実験),地盤工学会会誌,報告,Vo.63, No.6, pp.16-19,2015.
小高猛司,李 圭太:河川堤防の安全性評価に向けた地盤工学の課題,地盤工学会会誌,総説,Vo.63, No.9, pp.1-6,2015.
崔 瑛,小高猛司,李圭太:河川構造物周辺堤防における空洞およびゆるみ領域の発生・発達に関する実験的検討,地盤工学会会誌,報告,Vo.63, No.9, pp.22-25,2015.

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3.海溝型 巨大地震時の被害予測に関する研究

 近い将来発生が確実視されている南海トラフ地震海溝型巨大地震であり,長周期かつ継続時間が長い地震動であることが特徴であると言われています。 東日本大震災でも自然堆積粘土地盤上の河川堤防で大きな被害が発生しました。今後,粘土地盤の動的特性を適正に評価し,地震被害を予測するシミュレーション手法を早急に整備する必要があります。
 本研究室では,自然堆積粘土の動的力学特性の解明も含めて,数値解析により沖積低平地での自然堆積地盤の地震時挙動のシミュレーションを実施し,海溝型巨大地震時の被害予測の検討をしています。

 

 

関連論文:
小高猛司,李 圭太,野田利弘,吉川高広,崔 瑛:実河川堤防へのレベル2地震応答解析の適用,地盤工学会会誌,報告,Vo.63, No.10, pp.28-31, 2015.
Kodaka, T., Noda, T., Yoshikawa, T. and Takeine, T.: Seismic and Postseismic Behavior of River Levee on Soft Clay Ground, Keynote Lecture, MS22, The 1st International Conference on Computational Engineering and Science for Safety and Environmental Problems, COMPSAFE 2014, Sendai, pp.138-139, 2014.
Yoshikawa, T., Noda, T., Kodaka, T. and Takaine, T.: Analysis of the effect of groundwater level on the seismic behavior of an unsaturated embankment on clayey ground, Soil Dynamics and Earthquake Engineering, Vol.85, pp. 217-230, 2016.
 

 

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Last update: 20/03/23