水に関する工学は,水文学,河川工学,砂防工学,海岸・港湾工学,海洋工学,衛生工学,水環境工学といった幅広い分野に広がっています.水理学はこれら水工学の基礎となる学問であり,水の流れの力学を理解するとともに応用的な解析ができることを目的として講義を行っています.具体的には,静止した流体,粘性のない完全流体の理論,実在する粘性流体の流れについて基本的な理解を深めることをめざし,静水の力学,完全流体のエネルギー保存則や運動量保存則,粘性流体の流れの特性,管路・開水路の流れなどについて扱っています.
「水の惑星」地球において,人類は水害の防御と水資源の確保に心を砕いてきました.近年,流域の開発と自然環境の保全が課題となっており,建設技術者は地球上における水の循環過程について正しく認識する必要があります.陸水システム学では,河川流域の仕組みや地下水の流れる帯水層,降水・地下水・河川水など水循環の構成要素の観測と解析方法について述べた後,水害防御のための治水や河川構造物,水資源開発,河川環境の保全について講述します.
生活用水としての上水道の目的は安全な飲料水を十分に供給して,水系伝染病を予防することにあります.そのため,水質処理学では,使用した排水を確実に処理して放流し,水域の水質保全を図るための種々の技術を学ぶことを目的として授業を行っています.具体的には,上水道,下水道の技術を主体とした水質処理,特には,水処理技術の中心となる生物学的水処理のための微生物学について講述します.
海域システム学では,主に海特有の水の流れに着目し,講義を行っています.とくに,海の波の基本素波である規則波の諸特性,波の変形機構,有限振幅波,不規則波,風波の推算,高潮・津波,沿岸域での流れ,海岸地形変化,海岸構造物に作用する力を述べるとともに,生態系,環境影響評価など海岸環境で考える際に重要な項目についても扱っています.
建設工学実験Ⅰ(水工実験)では,水理学で扱った現象を実験的に再現させ,自らの目と手で観測し測定することによって,現象に内在する法則を理解し,水の流れに関する理論を検証しようとするものです.すなわち,紙と鉛筆で学んだ水理学が実際現象の解析にどのくらい有効であるかを確かめるとともに,実験を通して水理学をより深く理解することをめざしています.